
アンチエイジング
アンチエイジング(抗加齢)とは、加齢による身体の機能的な衰え(老化)を可能な限り小さくすること、つまり「いつまでも若々しく」ありたいとの願いを叶えることといえます。特に中年期以降に動脈硬化、骨粗鬆症、皮膚老化、更年期障害、認知症、老眼、難聴、歯消失などの老年病のリスクが高まります。様々なアプローチから老化メカニズムが研究されていますが、遺伝子の変異、細胞機能の低下、酸化ストレスの増加、免疫機能の低下、ホルモンレベルの低下、炎症の慢性化などが共通要因として考えられています。ホルモン作用・抗酸化作用・免疫調節作用を持つ機能性食品を用いた栄養指導や、筋力・有酸素トレーニングなどの運動指導、意欲向上や心身ストレスからの解放を目指した精神療法、ホルモン補充といった薬物療法がアンチエイジングには有効といわれていますが、その実証は今後の課題です。
当院では、美容目的として抗酸化作用や肝機能・皮膚症状・免疫機能の改善が期待できるプラセンタ注射、グルタチオン注射による治療、また男性型脱毛症(AGA)に対する内服治療、動脈硬化や骨密度などの検査を提供するためアンチエイジング外来を行なっています。

♦︎プラセンタ注射
プラセンタは妊娠中の女性に作られる胎盤です。胎盤はへその緒を通じて、胎児に酸素や栄養素を与え、胎児からは老廃物や二酸化炭素を母体の血液に排出します。
このプラセンタは、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、酵素豊富な栄養成分が含まれており、疲労回復、免疫力向上、肝機能強化、自律神経のバランスを整えるなどの効果が期待でき、慢性肝疾患の患者様や更年期障害に対する治療薬として使用されています。
またプラセンタ注射で肌のハリやシミ・くすみの改善、肌の透明感などが期待でき、美容治療にも用いられています。女性向けと思われがちですが男性の方ももちろん大丈夫です。
更年期障害や慢性肝疾患における肝機能の改善に用いる場合は保険診療となります(事前検査あり)。美容医療目的に使用する場合は保険外診療となります。効果を実感するには、1ヵ月程度かかるとされています。プラセンタ注射の頻度は改善したい症状や程度、ライフスタイル次第です。
注射を打ち始めた当初や症状の程度によっては、週1-2回程度でのご来院をおすすめします。数ヶ月経過して症状が改善してきたら週1回〜2週に1回程度でご来院されている方が多いです。基本的にプラセンタ注射は継続した方が良いものではありますが、「必ずこの頻度でなくてはいけない」といった決まりはないため目的やライフスタイルを踏まえ、可能な頻度でご来院ください。プラセンタ注射の前後で行動制限を課せられることもありませんので、ご自身のペース・都合を優先しての注射が可能です。
ヒトプラセンタは、日本国内の産婦人科において、正常分娩した健康な母親の胎盤を使用し、ウイルスなどの病原体がいないことを確認したいます。副作用に関しては、注射部位に痛みや発赤、皮下出血などがみられることはありますが、重度な症状の報告は日本で60年以上しようされている現時点ではありません。なおヒト由来のプラセンタ注射を一度でも受けた方は、それ以降は献血することができなくなります。

♦︎白玉注射(グルタチオン)
白玉注射は、強力な抗酸化作用にあるグルタチオンを直接体内に入れることで、身体の内側から美白・美肌に働きかける注射です。肝機能の改善や皮膚疾患の改善に対する治療、シミの改善、美白効果、くすみの改善、皮膚の健康維持に効果が期待されています。
グルタチオンは筋肉や肝臓などに分布するアミノ酸からなる物質で、グルタミン酸、システイン、グリシンで構成され、強力な抗酸化作用有します。紫外線などの酸化ストレスからを皮膚守る作用があり、さらにグルタチオンはしみの原因となるメラニン色素の合成を阻害しするので、強い美白作用を持ちます。
美容医療目的に使用する場合は保険外診療となります。高用量のグルタチオン治療については、パーキンソン病では海外での報告がありますが、高用量のグルタチオンが美容・美白に有効かどうかは明らかなエビデンスがありませんので、当院では添付文書に基づき厚労省が認可した適正使用量を用いています。


♦︎AGA(男性型脱毛症)治療
AGAとはAndro-genetic-Alopeciaの略で男性型脱毛症のことを言います。脱毛の進行は人により様々で、額や頭頂部から薄くなります。テストステロンという男性ホルモンと、5αリダクターゼという酵素が結びつきDHTが頭皮に発生し、細胞分裂を阻害することで、ヘアサイクルが乱れて薄毛が進行します。喫煙や睡眠・食事・運動など生活習慣の乱れもAGAの原因となりますが、主としてDHTができやすい人が、AGAになりやすい人と言えます。
DHTは遺伝による要因が大きいといわれており、5αリダクターゼの活性度がほぼ決まります。5αリダクターゼの活性度が高く男性ホルモンと結びやすいとDHTが生じやすく薄毛になりやすいと言えます。
ただ5αリダクターゼと男性ホルモンとの結びつきは、薬によって阻害できます。たとえ遺伝によってAGAになりやすい人でも、お薬を使えば薄毛は防げます。
当院では、先発品と同じ有用成分・効果効能にて厚生労働省から製造販売承認を得て発売されたジェネリック薬(後発品)を採用しておりますので、高額で継続的な服用を諦めていた方にも優しいお薬となってます。なお治療は成人男性のみで、服用期間中は献血ができません。お気軽にご相談ください。
♦︎血管年齢検査
昨今日本では、欧米型の食事や運動不足などが原因となり動脈硬化が進行しやすく、血管年齢が実年齢より高くなる方が増えています。脂質異常症、高血圧、糖尿病といった生活習慣病のある方、肥満や食生活が乱れがちな方、喫煙される方は、血管の老化スピードが速く動脈硬化リスクが高くなります。
下肢の血管について「硬さ・つまり具合」を測定するABI検査と、血管の「硬さ」をはかるCAVI検査で血管年齢を測定することは、このような疾患を早期発見するためにも重要です。計測結果はその場で患者様にお渡ししています。
♦︎骨粗鬆症検査
骨粗鬆症は、骨の量や強度が低下して骨折しやすくなる病気です。閉経による女性ホルモンの分泌低下が骨密度を低下させるため女性に多い症状ですが、最近では生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病)が骨代謝に影響を及ぼすことが明らかになってきており、男性も無縁ではありません。
当院ではX線撮影によって手の骨に含まれるカルシウム量を計測できるデジタル骨塩定量測定を行っており、計測結果はその場で患者様にお渡ししています。治療も行っているので、アンチエイジングに向け、定期的に測定されることをお勧めします。